保健師になりたい学生必見!大学院生の行政保健師Ellieさん行政保健師になった理由とそのやりがいとは?
- ななぱす 学生団体
- 2022年4月24日
- 読了時間: 5分
保健師資格を活かした様々な働き方について詳しく知る機会が少なく、またライフイベントを含めた保健師のキャリアについて想像することが難しいかもしれません。私たちは実際に保健師の方にインタビューをして一人一人にとっての保健師としての生き方を伺いました。
行政保健師として働きながら大学院で公衆衛生学を学んでいるEllieさんへのインタビューから、皆さんも行政保健師について今一度一緒に考えてみませんか。
後編はこちら
文章:くりんぱい
行政保健師になるきっかけ
プロフィールに記載されているように、Ellieさんは現在に至るまで様々なキャリアを歩まれています。私たちが今後キャリアを考えていく上で参考になるのではないかと思い、このようなキャリアを選択するに至った経緯をお聞きしてみました。
「元々国際保健や海外に興味があったため、今後のキャリアのために英語を勉強したいという思いから、病棟看護師を辞めてからはオーストラリアのワーキングホリデーに行きました。英語を勉強しながら、看護のキャリアから完全に離れないために、アシスタントナースとしての仕事も経験しました。そして、海外で過ごす中で言葉の壁などを感じました。日本にいる外国人の方もマイノリティであり弱い立場にいて、大変な思いをしている人はたくさんいるのではないかと考え、日本を自分のフィールドにしたいと思うようになりました。帰国後は外国人への支援だけではなく、保健や予防に関する経験もしてみたいという思いから保健師に転職しました。」とEllieさんは言います。
ワーキングホリデーという自分の経験からやりたいことが見つかったと聞き、今までの自分の経験を振り返ること、そして興味のあることに対して積極的に行動してみるということがキャリアを考えていく上で大切なのだと気付かされました。
行政保健師のやりがい
実際に行政保健師として働いていく中で発見した、保健師の面白さについてお話をしていただきました。
「まずは、自分から地域に足を運び、地域住民の方々と信頼関係を築いていく中で地域の強みや課題を発見しながら支援ができるというところです。例えば、保健師の業務の一つである家庭訪問は1回30分から1時間ほどゆっくり話せるので、その人の背景や価値観などについて理解しながら今後のことを一緒に考えていくことができます。また、この仕事をしていなかったら関わることのなかったであろう様々な人と出会えるところも保健師の面白さです。現在は高齢者や障害者を支援する福祉寄りの部署に所属しており、本人たちだけでは解決できないような困難な状況にある人や医療につながっていない人といった様々な人々と出会うことが多く、保健師としての支援の必要性を感じます。また、元気な高齢者が健康で居続けられるように、通いの場などを一緒に作ったり、サポートしていけるところも面白いです。」とEllieさんは言います。
病棟看護師は、病院という環境に居る患者さんと深くお話しする時間は中々取ることができませんが、保健師は実際にその人の生活圏内に入り、深くお話しすることができるため、より個別性を重視したサポートができると考えられます。人と話をすることが好きな人や、よりその人の生活面を意識したサポートを行いたいと考える人にとっては自分の好きなことややりたいことの実現の場になるのかもしれません。
保健師として働くうえで今後やりたいこと
現在、Ellieさんは保健師として活躍されるだけでなく、大学院で公衆衛生学についても学ばれています。学ぼうと思い至った経緯や今の学びを今後どう生かしていくのかという点についても伺ってみました。
「保健師として働いていく中で、個別の支援だけではどうしても手が行き届かない人もいて、一人ひとりにアプローチするには限界があるため社会の構造や政策自体を変える必要があるのではないかと考え始めました。人は口で伝えるだけでは変わることが難しいため、環境を変えたり、より伝わりやすいアプローチを学んでより多くの人に必要な情報や支援を届けていく必要があると思います。大学院では統計やデータ分析を学ぶことで、現在行っている事業の評価や効果測定をPDCAだけでなく、統計的に評価したり、研究として形にできるようになりたいと思っています。
行政でのキャリアにおいては、今後は母子保健や成人保健、感染症なども一通り経験し、保健師として一人前になっていきたいです。また、今後出産や育児のことを考えると、行政にいた方が産休育休を取りやすいため、しばらくの間は行政で働こうと思っています。一方で今後働いていく中で他にやりたいことが見つかった場合は、転職する可能性もあり、自分が面白い、やってみたいと思えるところで働けること、興味のあることにはとりあえず挑戦してみることが一番重要であると考えています。」とEllieさんは言います。
実際に働くことで見えてくる課題をそのままにせず、自ら学ぼうとする姿勢は看護職者として理想となるキャリアの一つであるように感じます。また、子育てなどプライベートのことも考えた上でキャリアを構築していくことは、より充実した人生を歩むためにも、メンタルヘルスを保つためにも大切だと感じました。そして、その中でも自身のやりたいことに対して素直に行動できるEllieさんの姿に感銘を受けます。
最後に
実際に様々な経験を経て自分のしたいことが見え、それを行動に移す過程について学びを深められたのではないでしょうか。また、人と深く関わるからこそ見えてくる保健師の面白さについてもたくさん知ることができました。
少しでも皆さんが自身のキャリアについて考えるきっかけになれば幸いです。
後編は【行政保健師として働きながら大学院へ。充実したキャリアを歩むために】です。
ぜひご覧ください。
後編はこちら
Ellieさんのプロフィール
大学卒業後、附属病院の急性期病棟にて看護師として勤務。その後オーストラリアにワーキングホリデーで滞在し、英語の語学学習、アシスタントナースとしてナーシングホーム等にて勤務を行う。帰国後、派遣看護師として中小病院や介護施設等での勤務を経て、2018年より政令市の保健師として就職。2021年より現所属と並行して公衆衛生学の修士課程へ進学。
Twitter:@ellie_tkbjpn
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